好きな音楽のことについて語りたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Carole King - Will You Love Me Tomorrow

 前回のリンダ・ロンシュタットの記事の中で、彼女のヴァージョンとファースト・リリースのザ・シュレルズのヴァージョンを紹介しました。ご存知の通り、この曲は数多くのアーティストによって歌い継がれており、カヴァー・ヴァージョンの数は枚挙に暇がありません。今回は誠に僭越ながら、それらの中から独断と偏見によるお気に入りを幾つか紹介させていただきます。

 まずは1971年リリースのアルバム、『Tapestry』に収録されていたキャロル・キングのセルフ・カヴァー・ヴァージョンです。


つづれおりつづれおり
(2013/03/06)
キャロル・キング

商品詳細を見る

 
WILL YOU LOVE ME TOMORROW
今夜、あなたはすっかり私のもの
こんなにも優しく愛してくれる
今夜はあなたの瞳に愛が灯っているけれど
明日も私を愛してくれるのかしら?

これは一生の宝物?
それとも一瞬の喜び?
あなたのため息の魔法を信じるなら
明日も私を愛してくれるのかしら?

今夜、言葉を内に秘め
唯一の人よ、とあなたは言ってくれた
でも、夜に代わって朝日が昇ると
私の心は張り裂けるかもしれないわね?

あなたの愛を信じていいと
私は確信したいの
だから今、私に言って、二度と聞き直さないから
明日も私を愛してくれるのかしら?

だから今、私に言って、二度と聞き直さないから
明日もまだ、私を愛してくれるのしら?

 高校生の頃には既に作曲を始めていたというキャロル・キング。ザ・コザインズというヴォーカル・グループを結成し、レパートリーのほとんどを自ら作曲、アレンジしていました。高校を卒業すると、ニューヨーク州立大学クイーンズ校に進学。そこではジェリー・ゴフィンと出逢いが待っていたのです。
 化学を専攻していたジェリーは作詞家を志望する青年でした。キャロルとジェリーはたちまち意気投合し、一緒に曲作りを始めます。ソング・ライターという共通の夢を共有するふたり。いつしか愛を育み合うようになり、1958年にはゴール・インすることになりました。
 ジェリーとともに曲作りに励んでいたキャロル・キングは、大学在学中に学友であるポール・サイモンからデモ・テープの作り方を教わり、レコード会社に売り込むようになります。1959年に見事、コサインズ時代に作った「Baby Sittin' In」でデビューを飾りますが、商業的には失敗。以降、数枚のシングルをリリースするも鳴かず飛ばず。結局、歌手活動を一旦断念し、夫とのソング・ライター稼業に専念することになりました。
 歌手としての成功はつかめなかったとはいえ、ソング・ライティングには光るものがあったのでしょう。キング&ゴフィンのコンビはキャロル・キングの高校時代の学友ニール・セダカの紹介もあり、後にザ・モンキーズのプロデューサーとしても知られることになるドン・カーシュナーとアル・ネヴインズが設立した音楽出版社アルドン・ミュージックでスタッフ・ライターとしての職を得ることになったのです。なお、ニール・セダカの「Oh! Carole」はキャロル・キングに捧げた曲であるのは言うまでもなく有名な話。キャロルは前述した歌手時代に、「Oh! Neil」というアンサー・ソングを発表していました。
 ニューヨークのブロードウェイに立つブリル・ビルディングとその周辺の音楽出版社やスタジオが入居するオフィス・ビル。その中にアルドン・ミュージックはありました。キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンは同僚となったニール・セダカ&ハワード・グリーンフィールド、バリー・マン&シンシア・ワイルらと篠木を削りながら、ソング・ライターとしての才能を開花させていったのです。
 キャロル・キングの紡ぎ出すポップなメロディと弾むようなリズム。ジェリー・ゴフィンが創作する簡潔であると同時に説得力のある歌詞。覚えやすい旋律に青春期にありがちな激しい感情、不安、葛藤、欲求、孤独、献身的な思いなどが綴られたキング&ゴフィンの作品にはリスナーの琴線に触れる要素が十二分にありました。それ故に、ふたりが最初の成功をつかむのはそれほど多くの時間を要しなかったのです。
 1961年に黒人女性ヴォーカル・グループのザ・シュレルズに提供した「Will You Love Me Tomorrow」が、ヒット・チャートの1位に輝いたのを皮切りに、ボビー・ヴィーの「Take Good Care Of Baby」も第1位、翌62年にはリトル・エヴァの「The Loco-Motion」もトップの位置に上昇するなど、ふたりの書いた曲は次々とヒットし、チャートの上位を駆け上がって行きました。
 作詞を担当していたのは男性であるジェリー・ゴフィンですが、彼は思春期、青春期の女性の心理を巧みに捉えています。この「Will You Love Me Tomorrow」も若い女性のそうした心の揺れがよく表されていました。太宰治は『女生徒』という作品で少女ならでは物の考え方や心の機微を的確につかみ取っていましたが、洋の東西やジャンルを問わず、秀逸な作家やクリエイターはこの世にあまねく人々の感覚や情動を把握する能力に長けているのでしょう。常人にはまったく太刀打ち出来ません。ことにデリカシーがないとお叱りを受けてばかりの私のような人間には・・・・・・。
 実社会で考察してみても、異性であろうと同性であろうと、相手の心や気持ちをつかむことは肝要です。勤務している会社の幹部や上司、取引先のお偉いさんに気に入られると、たちまち出世コースへ。しかし、そんな薔薇色の経験はなく、能力不足か資質ゆえなのか、トラブルを引き起こしてばかりで疎まれる次第。人生はなかなかうまくいきません。
 おっと、話がどんどん逸れて行きそうです。それではお題に沿って、カヴァー・ヴァージョンを紹介して行くことにしましょう。
 こちらはキャロルと大御所ウィリー・ネルソンの共演です。2004年の彼のアルバム『Outlaws and Angels』に収録。DVDも発売されています。


 キャロル・キング&ジェリー・ゴフィン宅のベビー・シッターから一躍スターダムへ。キング&ゴフィン作のナンバーである「The Loco-motion」のヒットを持つリトル・エヴァも1962年のアルバム『Llllloco-motion』でカヴァーしています。


 世界的なヒットとなった「Comment te dire adieu (It Hurts To Say Goodbye)」、あるいは日本では山田太一脚本、岸恵子主演のテレビドラマ『沿線地図』の主題歌として使われた「Ma jeunesse fout l'camp」でお馴染みのフランソワーズ・アルディも1968年の『En Anglais』で取り上げていました。アンニュイなウィスパー・ヴォイスが、より切なさを深めているものの決して強要したり束縛したりしようとの意図が窺えません。でも、そのほうが怖いというのは考え過ぎでしょうか。


 次は男性陣のカヴァー・ヴァージョンで。ビートルズ以前に最も人気のあったバンドと称せられるフランキー・ヴァリ率いるザ・フォー・シーズンズの歌声です。ドゥー・ワップを基本としながらもヴァリのパワフルなファルセット・ヴォイスが魅力。1968年にリリースされました。なお、彼らの経歴を基にしたミュージカル『Jersey Boys』が、2014年にクリント・イーストウッド監督で映画化されて好評を博しています。


 白人コーラスに対抗するわけではありませんが、今度は黒人コーラス・グループ出身の方の登場です。その方はかつてミラクルズを率いて一世を風靡したスモーキー・ロビンソン。彼の歌うヴァージョンは1973年の『Smokey』に収録。ボブ・ディランが、「男女間の『心のひだ』を歌わせたらスモーキー・ロビンソンにかなう人はいない」と言わしめたほど、彼はその鋭い感性と洞察力を持って「歌」を表現していました。ヴェルヴェット・ヴォイスは今も健在です。


 お次ぎはハード・ロックの分野の方に登場してもらいましょう。レインボーやアルカトラスで活躍したヴォーカリストの横山やすしさん、もといグラハム・ボネットのヴァージョンは1977年の『Graham Bonnet』に収録。


 デイヴ・メイスンのヴァージョンは『Mariposa de Oro』(1978)に収録。まるで中年男が見せる弱みと哀愁が窺えるような好演ぶり。情念の炎を燃やすと称される独特のギター・プレイも泣かせます。


 元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのドラマーだったモーリン・タッカーのヴァージョンは1981年リリース。ヴェルヴェット時代にも彼女はアルバムの中で何曲かリード・ヴォーカルを担当していましたが、ここでもラフな演奏をバックにピュアな歌声を披露しています。
 
 
 ヘヴィでありながらも渇いた音色を醸し出すギター・プレイ。現在もイーグルスで活躍するジョー・ウォルシュのヴァージョンです。ソロ・アルバム『Songs for a Dying Planet』(1992)に収録。


 中高年男性の妖し気な色気が漂うブライアン・フェリーのヴァージョンは『Taxi』(1993)に収録。ロキシー・ミュージックとはまた違った、大人の味わいが魅力的です。


今夜、おまえはすっかり俺のもの
こんなにも優しく愛してくれる
今夜はおまえの瞳に愛が灯っているけれど
明日も俺を愛してくれるのか?

これは一生の宝物なのか?
それとも一瞬の喜びにすぎないのか?
おまえのため息の魔法を信じたら
明日も俺を愛してくれるのか?

今夜、言葉を内に秘め
唯一の人よ、とおまえは言ってくれた
でも、夜に代わって朝日が昇ると
俺の心は張り裂けるかもしれないぜ?

おまえの愛を信じていいと
俺は確信したいのだ
だから今、俺に言ってくれ、二度と聞き直さないから
明日も俺を愛してくれるのかしら?

だから今、俺に言ってくれ、二度と聞き直さないから
明日もまだ、俺を愛してくれるのか?

 さて、フォー・シーズンズ、ミラクルズ(スモーキー・ロビンソン)とくれば、この方々のコーラス・ワークを忘れてはなりませんね。ザ・ビージーズの皆さんの出番です。『Tapestry Revisited - A Tribute to Carole King 』(1995)に収録されていました。


 卓越した作詞・作曲のセンス、ソウルフルな歌声、そして美貌。天は二物も三物も彼女に与えたのでしょうか。孤高のシンガー・ソング・ライターと形容されたローラ・ニーロのヴァージョンは『Angel in the Dark』(2001)に収録。彼女はキャロル・キング&ジェリー・ゴフィン作の「Up On The Roof」(1970年の『Christmas and the Beads of Sweat』、1971年の『Gonna Take A Miracle』にもボーナス・トラックとして収録)をヒットさせたことがありますが、スタジオ録音では最後となるであろう『Angel In The Dark』(2001年)でこの曲を披露していました。


 こちらもローラ・ニーロのヴァージョン。1993年発表の『Walk The Dog & Light The Light』にボーナス・トラックとして収録されました。


 ジャジーな雰囲気に包まれた中で枯れた歌声が心に滲みるノラ・ジョーンズ。スピリチュアル・アンビエント・ジャズのタッチ・アコーストラのアルバム『When It Comes Upon You』(2003年)に客演した時のヴァージョンです。


 ハスキーでソウルフルな歌声でリスナーを魅了したエイミー・ワインハウスのヴァージョンは、レネー・ゼルウィガー主演の映画『Bridget Jones: The Edge of Reason』(2004年公開)のサントラ、彼女の追悼コンピレーション・アルバム『Lioness - Hidden Treasures』(2011年)などに収録。人生の酸いも甘いも噛み分けた女が、若かりし頃を振り返りながら自問しているといったところでしょうか。渋い味わいのする歌声です。


 音があまり良くないのですが、ブルース・スプリングスティーンがレコード・デビュー前に結成していたDr. Zoom& The Sonic Boomでの演奏をよろしければお聴きください。1971年の録音とのこと。

 
 今回はキャロルとジェイムズ・テイラーとの共演でお開きにしましょう。2007年リリースの『Live at the Troubadour』から。


スポンサーサイト

Carole King - ONE TO ONE

まもなくキャロル・キングがジェームズ・テイラーを伴って来日します。そこで今回は彼女が1982年に発表したアルバム『ONE TO ONE』を取り上げることにしました。

ワン・トゥ・ワンワン・トゥ・ワン
(2010/03/24)
キャロル・キング

商品詳細を見る

1. One to One
2. It's a War
3. Lookin' Out for Number One
4. Life Without Love
5. Golden Man
6. Read Between the Lines
7. (Love Is Like A) Boomerang
8. Goat Annie
9. Someone You Never Met Before
10. Little Prince

このアルバムは1977年から4年間在籍したキャピタル・レコードを離れ、アトランティック・レコード移籍第一弾としてリリースされたものです。キャピタル時代には吹っ切れたような明るさが窺える『Simple Things』(1977)、シンプルな音作りをしながらも時流に合わせたかのようなディスコ風の楽曲も収録された『Welcome Home』(1978)、ファンキーなR&Bテイストが印象的であるもののリラックスした雰囲気の『Touch The Sky』(1979)、そして原点に戻るかの如くセルフ・カヴァーで満たされた『Pearl』(1980)と4枚のアルバムを制作しましたが、中には注目されることなく芳しいセールス結果を残すことが出来なかった作品もありました。
ロサンゼルスという大都会の喧噪を離れ、コロラド、テキサスなどの穏やかな環境に身を置いて音楽に打ち込めたこの時期のキャロル・キング。バックを受け持ったナヴァロやジェリー・ジェフ・ウォーカーと彼のバンドとの出会いがあった反面、78年に三番目の夫だったリック・エヴァーズが他界。彼女は創作のみならずプライヴェートにおいても変化の激しい数年間を過ごしたのです。

こうした悲喜こもごもの出来事を経験したことにより、創作面ではやがて収穫となって実を結びことになりました。前作『Pearl』では最初の夫であるジェリー・ゴフィンと紡ぎ出した数々のヒット曲を自らの声で歌い、さらに二人の手による新曲「Dancin' With Tears In My Eyes」も収録。そのことがきっかけとなったのか、この『ONE TO ONE』でも二人が書き下ろした「Someone Met Never Before」が収められ、さらにはジェリーと娘であるルイーズの親子による共作曲「Life Without Love」をキャロル・キングが歌うといった趣向も盛り込まれていたのです。

共同プロデュースには『Touch The Sky』と同じくナヴァロのマーク・ホールマンを起用。二番目の夫だったチャールズ・ラーキーもベースで全面参加してキャロル・キングのこの新たなる門出に花を添えています。

それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーは表題曲で、シンシア・ウェイルとの共作「One To One」です。シンシア・ウェイルは夫であるバリー・マンと組んで数々のヒット曲を送り出して来た女性。キャロル・キングと同じくブリル・ビルディング・サウンドを代表するソング・ライターです。
「ひとりひとり/あなたから私へ/愛を送っていけば/どこまでも広がって行く」というシンプルなメッセージが心に届きました。


続いて「あなたはただナンバーワンが欲しいだけ」と歌われるファンキーな「Lookin' Out For Number One」。強欲に取り憑かれ、周囲や他人の気持ちを顧みない人への強烈な皮肉に受け取れました。


かつてのキャロル・キングを彷彿とさせるような「Read Between The Lines」。


もう一曲、ジェリー・ゴフィンとの共作曲「Someone You Never Met Before」。途中で娘のルイーズ・ゴフィンの歌声が聴けます。ギターはダニー・クーチが担当していました。


SOMEONE YOU NEVER MET BEFORE
キャニオンの向こうに陽が沈み
一人取り残されたように思える時
見知らぬ誰かがあなたのドアを
ノックするかもしれない
前に会ったことがなくても
知っている人のように思える誰かが

さて これはよくあるときめきってことなのかも
悲しみにつながるのか喜びに導かれるのか分からないけれど
でもそれはあなたが知らなかった
チャンスの訪れ
前に会ったことがなくても
知っている人のように思える誰かかも

恐れてはいけない
ゲームはまだ始まっていないのだから
愛を見つけるまで
彼女はあなたを待っている
そしてあなたがしなければならないことのすべては
彼女を中に迎え入れること
そしてもう寂しい生活とお別れするのよ

だから陽が街の向こうに沈んだら
哀れな気分に陥ってはいけない
あなたのドアをノックするのは
新しい恋人かもしれない
前に会ったことがなくても
知っている人のように思える誰かが
知っている人のように思える誰かなのかも

1970年代後半から1980年代にかけての音楽界を振り返ってみると、ディスコ・サウンドが興隆を極め、パンク・ロックとエレクトロニクス・ポップスが市場を席巻していました。私小説を語るように歌うシンガー・ソング・ライターやアコースティックを基調とした爽やかなハーモニーが冴えるウエスト・コーストのロックは時代のグルーヴ感に合わずに隅へと押しやられていたのです。ヴェテラン・アーティストの中にはその潮流をうまく取り込み昇華して行った人もあれば、時代に対応出来ずに押し流され消えてしまった人もいました。
ヒット・メイカーであるキャロル・キングとて例外ではありません。前述のようにディスコ・サウンドを取り入れて音に変化をつけたり、従来のような弾き語りを中心にするのではなくバンド・サウンドを前面に押し出すなどの工夫を試みていたのです。

この『One To One』はアルバムのリリースに合わせたTVプログラム映像も制作され、ジェリー・ゴフィンとのコンビ復活が話題を集めたもののヒット・チャート119位までしか上昇せずに終わりました。しかし、この『One To One』にはシンプルでぬくもりを感じる演奏をバックに、『Tapestry』を始めとするOde時代の作品で表現されたような普通の女性像が投影されているかのように感じ取れます。また、ライヴ・パフォーマンスの映像からも窺えるように不遇の時期であっても決して心が折れることのないひたむきさが伝わってきました。商業的には不発でしたが、シンガー・ソング・ライターとしての才覚のみならず、幾度となく辛い別離を味わった女として、娘と共演する姿から母として、そして人生経験を積んだひとりの人間としてのキャロル・キングの魅力が表された見過ごすことの出来ないアルバムだと思います。
  次のページ >>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。